Posted by ぬまうお - 2012.11.28,Wed
恋をしたのだと気づくまでにそう時間はかからなかった。
しがないコンビニ店員の僕は両親とも離れた街に住み、就職できなかった引け目から大学の友人とも交友を絶って一人バイトに明け暮れるつまらない生活を送っていた。話すのといえば店長とパートのおばさんくらいで仲良くなれるわけもなく、世間話を社交辞令にこなす程度。人のあたたかみなどと言うものとはすっかり無縁の生活だった。
そんな暮らしをはじめて1年、また新しい春がきた。去年の僕がどん詰まりの気分でバイトをしていたのに比べれば、少しは人生に諦めもついてきた頃だった。引越しのシーズンだからか、新しい常連さんが何人か増えたのだ。僕はその中の一人の女性にあっけなく恋をした。彼女が店に来るだけでその日一日中幸せな気分でいられた。彼女の一挙一動が目に焼き付いて離れなかった。声を聞きたくてたまらず、彼女がお弁当を買うように毎日祈っていた。「温めましょうか?」「お願いします」それだけでも聞くことができれば僕は素晴らしい気分になるだろうと確信していた。ただそれは、あくまでも片思いにすぎなかった。こちらから何かアクションを起こす勇気があるわけもなく、毎日の生活に彩りが加わったものの彼女を見ない日のつまらなさが際立ったようで、僕の心はひどく乱れた。
夏がきた。彼女はタイトなジーンズを好んで履くようだ。すらりとした彼女の体型によく似合っている。ジーンズの裾を少しまくると見える白くて細い足首が目に毒だった。彼女は美しかった。凛とした強さをもっているように見えた。彼女の髪型はボブカットというらしい。少し内側に巻かれた髪が揺れるのをずっと見ていたかった。
ある日彼女は彼氏を連れて店にやってきた。薄々予想はしていた。彼氏は彼女に見合うだけの外見だった。少し落胆はしたものの、それで彼女のことを嫌いになったりはしなかった。ただ僕が早まって行動するのはやめようと決心しただけだった。僕のようなものからの好意なんて、きっと迷惑なだけだろうから。それからも彼女は店にやってきた。僕は彼女に悟られない程度にいつも見つめていた。そのうち、これは恋心ではないのではないかと思い始めた。これはそう、例えるならば綺麗な音楽を聞くようなものなのではないかと。
お題:綺麗な音楽 必須要素:ジーンズ
しがないコンビニ店員の僕は両親とも離れた街に住み、就職できなかった引け目から大学の友人とも交友を絶って一人バイトに明け暮れるつまらない生活を送っていた。話すのといえば店長とパートのおばさんくらいで仲良くなれるわけもなく、世間話を社交辞令にこなす程度。人のあたたかみなどと言うものとはすっかり無縁の生活だった。
そんな暮らしをはじめて1年、また新しい春がきた。去年の僕がどん詰まりの気分でバイトをしていたのに比べれば、少しは人生に諦めもついてきた頃だった。引越しのシーズンだからか、新しい常連さんが何人か増えたのだ。僕はその中の一人の女性にあっけなく恋をした。彼女が店に来るだけでその日一日中幸せな気分でいられた。彼女の一挙一動が目に焼き付いて離れなかった。声を聞きたくてたまらず、彼女がお弁当を買うように毎日祈っていた。「温めましょうか?」「お願いします」それだけでも聞くことができれば僕は素晴らしい気分になるだろうと確信していた。ただそれは、あくまでも片思いにすぎなかった。こちらから何かアクションを起こす勇気があるわけもなく、毎日の生活に彩りが加わったものの彼女を見ない日のつまらなさが際立ったようで、僕の心はひどく乱れた。
夏がきた。彼女はタイトなジーンズを好んで履くようだ。すらりとした彼女の体型によく似合っている。ジーンズの裾を少しまくると見える白くて細い足首が目に毒だった。彼女は美しかった。凛とした強さをもっているように見えた。彼女の髪型はボブカットというらしい。少し内側に巻かれた髪が揺れるのをずっと見ていたかった。
ある日彼女は彼氏を連れて店にやってきた。薄々予想はしていた。彼氏は彼女に見合うだけの外見だった。少し落胆はしたものの、それで彼女のことを嫌いになったりはしなかった。ただ僕が早まって行動するのはやめようと決心しただけだった。僕のようなものからの好意なんて、きっと迷惑なだけだろうから。それからも彼女は店にやってきた。僕は彼女に悟られない程度にいつも見つめていた。そのうち、これは恋心ではないのではないかと思い始めた。これはそう、例えるならば綺麗な音楽を聞くようなものなのではないかと。
お題:綺麗な音楽 必須要素:ジーンズ
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